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The language of life / 言葉の使いかた


デザインのまえにあるもの.デザインのうしろにあるもの.あるデザインの背景にある状況や,クライアントの思い,世界の見方.まだデザインされていない未踏の領域について考えること.あるいは,デザインがもたらしてくれたもの.思いもよらぬ偶然が導いてくれる線を辿りながら,デザインとその周りにある物事を知るための旅に出よう.これは,そういうデザインをめぐる旅のおすそ分け.


What have been before you designed. What might be after you designed. The situation behind a design, the thoughts of the client, and how to see the world. Thinking about unexplored areas that have not yet been designed. Or what the design has brought.While following the line led by an unexpected coincidence, embark on a journey to learn about design and the things around it. This project is a souvenir of such a kind of trip seeking what design is.

from the team UNDESIGNED


004_JAN2022 : Table of contents

Perspective / 視点

The language of life / 言葉の使いかた

"But there's one thing, one thing that you never get

a grip on life's sweet alphabet

Cause you never learned to speak the language of life"

-The language of life/ Everything but the girl


最近,特にUNDESIGNEDの取材などで人と話をしていると自分の発した言葉に対して「あれ,今の言い方おかしいな」と思うことがあります.例えば「面白い人たちに会いにいきたいんです」とか.他にも「デザイナーの人は」とかならまだしも「普通の人は」と言ったりすることがあるんです.まるで自分たちが普通じゃないところにいるかのように.面白い人とそうでない人がいるかのように.それは文脈上伝えたいことをなるべくはっきりさせるために便宜上使っているのだという言い訳を自分にするのですが,そういう言葉が出てくるということは,どこかにそういう理解が残っているのかも知れないと反省することがあります.知らないうちに,言葉はうっかりそんなふうに線を引いてしまいます,良くも悪くも.


デザインも一種の言語だと言われています.主には視覚言語として人の理解を促すために使われます.ただ,現在の資本主義というイデオロギーの中では,それは意図的に線引きの道具,マーケットの中での競合他社との差別化や,あれよりこれがいい,という識別の方法としてデザインが使われる場合も多いのです.一方で,ソーシャルネットワークによってクリエイターエコノミーが発達するに伴って,デザインがこれまで以上に個人的なものになっているという指摘や,デザインの民主化という言葉も聞かれます.デザインが言葉であるなら,やはりそこには良くも悪くも世界に線を引くための構造を持っているのは避けられないことなのかもしれません.ただ,社会の分断を生んでしまう言葉もあれば,連帯や共感を生む言葉があるように,僕たちはいつでもデザインという言葉も含めて,その使いかたに自覚的でありたいなと思うのです.(M.N)

Lately, especially when talking to people during UNDESIGNED interviews, I sometimes think that the words I said were something wrong. For example, "I want to meet interesting people." Other than that, I sometimes say "designers" or even "ordinary people". It's as if we were in a special place. As if some were interesting and some weren't. I make an excuse that I used those words for convenience to make what I want to convey in the context as clear as possible, but the fact that such words appear may mean that such an understanding remains somewhere in my head. I reflect to myself then. Without thinking it, words inadvertently draw a line like that, for better or for worse.

Design is also said to be a kind of language. As a visual language, it is used to promote human understanding. However, in the current idealism of capitalism, design is often used as a deliberate tool for drawing lines, differentiating from competitors in the market, and as a way of identifying that this is better than that. On the other hand, in the name of "creator economy", which has been developed by social networks, it is said that design is getting more personal, it is democratised. If design is a language, it may be inevitable that it has a structure to draw a line in the world, for better or for worse. However, we always want to be aware of how we use words includes design language, just as there are words that create divisions in society and words that create solidarity and empathy. It's obvious which is better to the society. (M.N)

Focus / 焦点

What's your expectation for... maybe 2022? / 今年は何が起きるかな.

2022年が始まりました.設置しているUNDESIGNEDからのアンケートから,UNDESIGNEDに期待すること,という質問への回答を掲載して,自分たちの抱負として今年もいろんな旅や対話のおすそ分けをしていきたいと思います.それから,UNDESIGNEDの編集メンバーにそれぞれ今年に期待していることをピックアップしてもらいました.

Q.UNDESIGNED に期待すること / Let us know any expectation for us as a media on design.

A.すごく身近なところで、クライアントと作り手の完成までの道のり、途中経過、あまりメディアにだせない対話などをアットホームにUPしてもらいたいです。

A.デザインのプロセスやデザインへの思いを綴っていただきたいです。

A.何かおもしろいこと

A.こんな場所待ってましたー!

A.水面下にあって目に映らない氷山の大部分に焦点を当ててください

A.楽しみにしています!

A.22世紀の世界を発信して欲しいです。

A.僕の知らないことをたくさん知れるような媒体だと有難いです笑

A.新しい試み、頑張ってください。

A.くだらなさに寛容な社会の継続に期待します。

A.新しい感覚にさせていただける気がします

A.Dezeenレベルの発信力ある日本発グローバルデザインウェブメディアとなって頂きたい。

A.インターネットで世界は一つになったのに日本人は井の中の蛙、世界に羽ばたいてほしい。

A.学びになることを期待しています。

A.日常生活にまでデザインが深く入り込んでくるキッカケを生み出してほしいです。

A.Share joy.

A.新しいデザインの提案や再定義

A.デザインに興味ない人や本とか読むの苦手な人でも楽しめるもの

A.視野を広げてもらえることを期待しています!

A.Will I think its going be an podcast show where you guys going share the knowledge.

A.成功事例はもちろんですが、失敗例も気になります。こんな企画あったけどどこの部分でダメになったかとか、未発表だと中々話せない部分もあるかと思いますが失敗から学ぶこともあるのでそこらへんもうまくフォーカスしてもらえると面白いかなと思います。

A.楽しさ。

A.見ることができない世界へ連れて行って欲しいです。

A.デザインのことを、ライトに読める読み物みたいになるといいのかなと思いました。

A.デザインをネタに遊べる場所。

A.できる限り永く続けられてください。楽しみにしております。

A.広くいろいろな人のデザインを見知るきっかけ まだ知らないデザインの発見

A.ラーメン屋さんの店主(分かりやすいデザインの世界の住人ではなさそうなヒト)とかに店やこだわり(大切にしていること)を聞いて記事にして欲しい。

A.ただ楽しみにしています

A.学ぶのを楽しみにしています!

A.ここにしかない面白いことを共有したいです。

A.様々な分野のプロフェッショナルな情報発信

Q. What's your expectation for 2022? / 2022年に期待していること (Q&A with team UNDESIGNED)


A. 会いたい人リストを作ったら広島の人だけで50人にもなりました.(M.N)

A. 今年は取材と編集に慣れて,もっと多くの人たちの活動を発信して,多くの人が繋がって,新しいことがうまれたら嬉しいなと思ってます.

あと,メンバーが増えるとか.(T.S)

A. 今年は、よくみて、よくしって、よくよんで、よくつたえて、よくつくりたい!

メンバー、いいですね(T.M)

確かに(M.N)

Dialogue / 対話

The secret story of HIROSHIMA chair / マルニ木工とHIROSHIMAチェアが生まれるまで.

We interviewed to Mr. Takeshi Yamanaka, a former president of Maruni Wood Industry, to talk about an epoch making “nextmaruni” project which had run in 2005. This project was a significantly important moment for the company to collaborate with great designers with appealing the craftsmanship. That project had terminated just three years but after that they succeeded to work with two great designers, Naoto Fukasawa and Jasper Morrison. Especially, the chair named "HIROSHIMA", which is designed by Naoto Fukasawa, has been huge success all over the world, with thousands of chairs contracted in Apple Park.


MARUNI WOOD INDUSTORY INC.
>https://www.maruni.com/en/

HIROSHIMAという椅子をご存知でしょうか?深澤直人さんがデザインしたこの椅子は,カリフォルニアのApple社の本社屋に何千脚も納品された事例が示すとおり世界中で大成功を収めています.その椅子を製造しているのは広島市湯来町に工場をもつ株式会社マルニ木工です.代表取締役会長である山中武さんに,この成功につながる取り組みだったエポックメイキングな「ネクストマルニ」プロジェクトについて,そして現在の深澤直人さんとの椅子作りについてお話しいただきました.

Between soil and your body / 土と人の間_サゴタニ牧農の久保宏輔さんが「牛の棲む森」を目指すわけ.

先月に引き続き,MOUNT COFFEE がプロデュースするフリーペーパー YAMABON のチームの皆さんと,サゴタニ牧農の久保さんとの対話の続きから,久保さんがこれから目指す放牧で牛を育てる「牛の棲む森」への思いについて語っていただいた部分をお届けします.

久保さんとサゴタニ牧農の目指す「牛の棲む森」プロジェクトは,先日クラウドファンディングで支援者を募り,わずか数日で目標金額に達成し,2月から始動予定とのこと.

実際に放牧地となる場所を案内してもらいながら,美しい風景がさらに豊かなものになっていくだろうという確信にも似た気持ちになるのは,久保さんのピュアな想いが皆んなを惹きつけるからでしょうか.



牛の棲む森プロジェクト
https://camp-fire.jp/projects/view/533295?list=coming_soon

Scene / 現場

Colour Field / 青春は一度だけ_写真展 20 21 でありむ君が言ったこと.

ニューノーマルってなんだ?ってふと思うことがある.オミクロンという初めて聞いたようなギリシャ語にも慣れてしまったこの日常こそがニューノーマルなのかもしれないと半ば自分に言い聞かせるように考える.ただ少しの緊張感の中で,しかし授業や会議がオンラインになったり,冬なのに換気をする環境に誰も文句を言わなくなり,それでも毎日がぼんやりと続いていく.それは人生の半分をとっくに終えている身からすれば,かなりの分母の数の中の僅かに2年がそうなっただけだと割り切ることもできる.

僕が出会ったのは,その2年間が,本来なら謳歌するはずだった学生時代に重なってしまった若者の行き場のない日常の記録としての写真たち.

彼と同世代の被写体が見せる笑顔や不安な表情は,いつの時代の若者たちのそれと変わりないようにも見えるけど,確かに彼らの負わされた2年間の時間のあり得た密度について思いを巡らすと,やり場のない思いが込み上げてきた.

彼はこの春卒業し4月からカナダに渡るのだという.日本に戻ってきたらぜひまた写真を見せて欲しいと思う.彼と同世代の学生たちの青春がまだ続きますように.

arimu on Instagram
https://www.instagram.com/arimu_iwamoto/

What is New Normal? Every day continues vaguely, at least for me, who is a middle aged man. But for youth, it must be different.

The photographs as a record of the young man's daily life with covid days, which overlapped with the student days when those two years were supposed to be enjoyed. The smiles and anxious facial expressions of subjects of his generation seem to be the same as those of young people of all ages, but they slightly indicate some sort of frustlation for this two years which has been stealed most of joy supposed to be.

He said he graduated this spring and will move to Canada from April. May the world be going better soon makes youth life shining again.

arimu on Instagram
https://www.instagram.com/arimu_iwamoto/

Essentials / 日常

ここでは,日常の中で見つけることが出来るデザインのエッセンスや,モノやコトへの視点がそれぞれの感性によって語られます.また,UNDESIGNEDを読みながら楽しんでもらうための素敵な音楽のセレクションも一緒に.毎回,UNDESIGNEDのメンバーやゲストの寄稿でアトランダムに構成します.

Here, the essence of design that can be found in everyday life and the perspective on things are talked about by each sensibility. Plus, with a good music playlist for you. Each time, it is randomly provided by UNDESIGNED members and guest writers.

意外といい顔建築 / Unexpectedly handsome

普段は単なる風景として見落としてしまうような,でもよく見ると意外といい顔な建築を取り上げます.

Photo and text by Michiaki Nishio

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田村ビル 広島市東区牛田本町4丁目
MAP

いつか,ビルの屋上に居場所を作りたいなと密かに思っている.家でも仕事場でもいい.もちろん自分や家族が所有しているビルがあるわけではないので,実現への目処はどこにもない.ただ,街なかで楽しそうな屋上を見たらふとそれを思い出すし,高いビルのフロアから他のビルの屋上を観察するのは何とも楽しい.建築物の年次点検で屋上のエレベーター機械室などに行くと,ここに住めないかな,と考えずには居られない.


このビルは京橋川に面して立っている.いわゆるダブルコアと呼ばれる長手方向の両端に階段室や水回りを集約し構造的にもそこが大きな役割を担うことで,できるだけ執務空間を最大限開放的に確保するというオフィスビルの設計セオリーが手に取るようにわかる構成だ.最大の特徴は,ほぼ南向きの川に開いた横長の連続した窓だろう.最大限その眺めを享受できるように東南の角も開放されている.その窓枠はアルミながら細く,現在普及しているものと比較すると繊細で美しい.


建築が好きな人であれば,20世紀の巨匠の一人と言われるル・コルビュジェという建築家が1920年代に発表した「近代建築の5原則」を思い浮かべるだろう.5原則のうちのピロティ(一階を柱のみにして開放すること)は,ここでは写真では見えないが地下駐車場に置き変わり,そのほか自由な平面,自由な立面,水平連続窓,屋上庭園,がほぼ忠実に再現されているのだ.


さらに目を凝らすと,外壁はレンガタイルが白く塗装されている.これがオリジナルなのか改装されたためなのかは分からないが,コルビュジェとほぼ同時代ながらヨーロッパの中心から離れたフィンランドという土地でそれらの新しい潮流を意識しながら手触りのある建築を目指したアルヴァ・アアルトの作品を彷彿とさせる仕上げである.遠くから見ると単なる白い素っ気ない箱だが,近づくとテクスチャーが現れてくる.


でも,ここで何より僕が魅了されるのはやはり屋上の造形である.ひと目で玄人の仕業とわかる美しいペントハウスのプロポーション.そしてその上にさらに屋上があるではないか.ダブル屋上.その手すりはスチールの格子で構成されていて,スラブ(床板)のコンクリート1枚の薄さが際立っている.西側が壁になっているのも憎い.まさに何かの舞台のようである.社員を集めて社長が演説をぶったか,あるいは,もっと民主的に庶民的に,ラジオ体操のお手本がここに上がったのかもしれない,などと妄想してしまう.


ある土地に建築するということは,その土地を占領してしまうということになる.コルビュジェは,ピロティでそれを相殺し,さらに屋上庭園を開放することで,建築を作ることで土地がさらに増えるというマジックを編み出したわけだが,いつの頃からか日本の多くのビルは屋上に立ち入れなくなってしまった.実にもったいない.もし多くのビルの屋上が開放されれば,廊下はストリートになり,立体的にいろんな人が行き交い,街はもっと面白くなるではないか.

逆読み / reverse reading

本や映画パンフレットを、読んだり観たりした内容からそのデザインを考えてみる。
illustration and text by Maiko Teramoto

『文体練習』

レーモン・クノー  朝日出版社 1996年

訳:朝比奈弘治

装丁:仲條正義


バスの中で見かけた男を、2時間後また見かけた———。

それだけの短い“メモ”を、99の異なる文体で書き換える実験的な一冊。

ある事象を、どんな視点で、どのように描写するか。その可能性が尽きないことと同時に、どこまでも愉快であることが、脅威的。

どうやって訳したのか、と読んでいてわき上がる疑問に丁寧に答えてくれる、訳者による後書きも充実。


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Exercices de style

Raymond Queneau 1996

Soundscape on your day off / 休日の音の風景

毎回,音楽好きの仲間に「今」聴きたい曲やアルバムをセレクトしてお勧めしてもらいます.
We also recommends nice music which is selected by DJs or people who are loving music so much.

選曲と文 / selection and text by Hiroki Ishii

休日の音。朝起きる人も居れば寝過ごした人、逆転の生活を送ってる人、様々な休日の音を聴いている人がいるでしょう。

プレイリストを製作するに当たって朝昼夜、3つのシーンをイメージし、どんな時間にも寄り添ってくれる曲をセレクトしました。

このリストがイヤホンからダイレクトに貴方の耳に、誰かのスピーカーから貴方の耳に。


その日の気分や景色にそっと楽曲達がマッチしてくれたら幸いです。



Hiroki Ishii / 石井宏樹
広島市基町はショッピングセンターにて猫2匹とPEACE hiroshimaを展開中。

PEACE hiroshima

Team UNDESIGNED of this issue

Producer / Editor / Video Editor
Takashi Sasaki
大阪生まれ香川育ち.野球ばかりでデザインとは縁がなかったが,デザイン関連の取材を通して,その考え方やプロセスに惹かれたひとり.

Editor in chief / Video Editor
Michiaki Nishio
広島生まれ.建築およびデザインと人間の接点から社会や未来を夢想するのが癖.普段は建築を軸にデザインの実践と教育に携わる.

Regular editor / Editorial designer
Maiko Teramoto
広島生まれ.素敵なものが,なぜ素敵なのかを考えがち.もちろんデザインでも.古今東西全ての本と映画を見漁るのが叶わぬ夢.

Special thanks for this issue:
Takeshi Yamanaka (a chairman of MARUNI wood industry inc.) / Kosuke Kubo (Sagotani Farmer) / Arimu Iwamoto / Hiroki Ishii (PEACE hiroshima)
and all readers!