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👨‍🔧Editing in process/ 編集中👩‍🔧 

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取材した記事をフレッシュなうちに届けられるように,編集中のサイトを常時公開しておくことにしました.サイトは随時更新され,リリースまでに少しづつ記事が追加されたり編集されていく様子をご覧いただけます.それらはある時点で完成版となり published にアーカイブされます.

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Perspective / 視点

Obsevations / 観察

ゲームのプラットフォームが教育ツールのブレークスルーを起こす日も近い、という記事です。ゲーミフィケーションという言葉はもうお馴染みかもしれません。ゲームのプラットフォームが教育産業を飲み込んでいく日が近いかもしれません。

すでに災害支援に動くことで有名な坂茂さんとか、この北川さんの活動とか。建築家に出来ることについて考えさせられます。

Story / 物語

On site / 現場

Place making. In this "small" corner of the world 街並みの風景をつくる

兜町第7平和ビルを訪ねた。東京証券取引所が奥の街区に控えたそのオフィス街界隈に日常的に暮らす人たちやそこを行きかう人々が、木枯らしの中をうつむき気味に急ぎ足で過ぎていく。日本橋側から続く手前の街区が、少し角度のついた平成通りに沿って少しカーブして次の街区とぶつかるその先に、大きなビルの一部が欠き取られたようなオープンスペースが手前の歩道の延長線上に接続されている。そこが今回の目的地。それはまるで神社に向かう参道のようにも見える。

この兜町第7平和ビルのグラウンドレベルを含むリノベーションは、雑誌新建築の2023年10月号に掲載され、2023年度のグッドデザイン賞も受賞している。私の所属するデザイン学校の卒業生である清水均さん(株式会社Speac)がプロジェクトの担当者として関わったということで、それなら、と現地で本人に案内してもらうことになった。

大通りの角に立つビルのグランドレベル(BF-2F)のリノベーション。奥に東京株式市場が見える。

現場で2時に待ち合わせ。15分ほど早く着いてまずは色々観察。1階にあるテナントは人気のお店のようだ、10分の間に多くの若い女性が入口のお店のサインの前で記念写真を撮っていく。Instagramに載せるのだろう。最近の店舗は看板やディスプレイを含めた店構えのデザインのレベルのボトムラインが一気に上がった。これもソーシャルネットワーク時代の一面だろう。

現地でデザインした部分の詳細を説明してくれる清水くん

そうしているうちに予定通り清水くん登場。まず、現地で色々デザインコンセプトやプロセスについて話を聞く。この辺りのエリアは数年前までは証券市場の金融街として賑やかだったが、株式の電子化に伴い人影がまばらになり、都内の緑地カバー率から見てもワースト2位らしく、ビル風が寒く感じる閑散とした景色になっていたところ、数年前からインテリア業界で著名な起業家がオフィスを構えたことで風向きが変わったのだという。実際、今回のクライアントである平和不動産株式会社はこのあたりの多くのビルを管理していて、それらに手を入れる際にはグラウンドレベルにオープンスペースを設け、緑を置き、おしゃれなカフェやグリーンショップなどを誘致して、街全体をおしゃれなビジネス街に変貌させている。点(スポット)が増えることで街角に拠点が生まれ、ビジネスマンも普段使いの人も気軽に居られる場所を作り出しているとのこと。実際に、ブロックを歩くと様々な極小のポケットパークのようなコーナーに出くわす。いずれも1階の店舗まわりのオープンスペースとなっている。お店も、ビジネス街に一見不似合いな洒落たカフェやグリーンショップだ。確かに、少しクラシカルな意匠の金融街らしい重厚なビルに若者向けのアイスクリームショップがセンスよく入り込んでいる佇まいは新しい。

彼の所属する株式会社SPEACが同じクライアントと手掛けたこの一帯のエリアリノベーションの草分け的ビルK5

通常、ビル単体での開発やリノベーションではそれぞれのクライアントやオーナー、またデザインを監修する設計事務所や企業もまちまちなことが多いため、このようなブロック一帯に影響力を持つデベロッパーがその街づくりの方向性やビジョンを握っていることはエリアリノベの観点からは非常に有効だろうと思う。


さて、清水くんの担当した兜町第7平和ビルでは、本来なら建物の内部だった空間が屋外の公開空地として通りに開放されている。確かに屋根もかかり、既存のマリオンで囲まれた半屋外的な空間に改修前のコンクリートに残された階段跡などを観察しないと、歩道が自然に続いているような錯覚に陥る。その2層分吹き抜けた高い天井には仕上げに銅板が貼られている。清水くんの説明では、この場所を誰にでも開かれた場所にしたかったとのこと。そのために、都市の中の憩いの場として街の歴史や日本人の生活様式を紐解き、神社的な要素をデザインに取り入れているとのことだった。最初に感じた参道的な佇まいは確かにここから来ているのだろう。銅板や床の玉砂利洗い出しの仕上げは確かにしっとりと落ち着いた空気を生み出している。

オープンスペースにはちょうどベンチで使えるような設えが施してあるため、常にだれからそこで腰を下ろしてひと息ついている。こういう誰にでも開放された居場所は使われてこそ価値がある。何気ない街のコーナーだが、市井の人々の行動に溶け込んでいる良いスポットだ。


地階と1階のカフェや雑貨屋の内装躯体部分も清水君チームがデザイン監修している。圧巻は階段室から見える、厚さ40センチのコンクリートの床板を一部抜いてある断面。コア抜きの穴がそのまま残されていて、作業の大変さを滲ませている。

すぐ近くには同じく清水くんが関わった店舗の入る住宅規模のテナントビルの改修物件もある。お店のデザインはオーナーによるものだそうだが、そういうベースとしての空間をプロデュースするのもまさに隠れたプロの仕事である。建築プロジェクトというと新築の大きな案件が注目されるが、これからの時代を考えると、大小様々なリノベーションが街の歴史を次に引き継ぎ、かつ、即効的な手段として、しかも持続可能性という意味でも現代的な意義があると思う。

ちなみに、清水くんは絶え間なくずっと話し続けてくれた。確かに学生時代から清水くんは饒舌だった。彼の中の関心あるものへの熱量と、それが相手に伝わっているかという意識がそうさせているのは昔と変わらない。ついでに言えば、洋服の着こなし方も時が立ったことを感じさせない。いつもレイヤーにレイヤーを重ねている、つまり、彼は重ね着マスターなのだ。一応録音のためのレコーダーを回しつつも、外でずっと説明を続けてくれる彼に申し訳なくなり、近くのカフェで少し腰を落ち着けて話を聞くことにした。僕も聞き役に徹しているので気持ちよく喋れたのかもしれない。あっという間に2時間半が過ぎていた。プロジェクトそのものの話に始まり、その時の苦労話、現在の仕事やこれからの仕事など、もちろん、昔話まで。そのエピソードはとても面白かったのでここでも少しご紹介したい。


彼は卒業後は地元広島の建設会社に就職した。そこは特に耐震診断などをベースとしてそこから当時盛り上がり始めてリノベーション部門を立ち上げたばかりで、彼はその部署で5年ほど経験を積んだ。転機が訪れたのは、谷尻誠さんが開催しているTHINKというイベントで、現在所蔵している株式会社SPEAC(東京R不動産なども手掛ける)の林厚見氏(東大工学部大学院-マッキンゼー出身)がゲストで広島に来たことだった。当時転職を考えていた彼に相談を受けていた僕は、きっとヒントになると思う、とこのイベントのことを伝えた。冗談半分で、この機を利用して直接押しかけたらいい、とけしかけていた。それを本人が実現した形になったのだ。その行動力と決断力には今でも敬意を示さざるを得ない。こうやって人はチャンスを掴んでいくんだなと、卒業生から学んだ。


実際のところ、彼の思いが通じてスピークで働くことになったものの、ここまでにはもちろんいろんな苦労もあったらしい。広島ではどちらかというとB to Cのプロジェクトを経験していたので、いきなり東京のB to Bのプロジェクトに当初はもう何が何だか分からなかったのだとか。ステークホルダーが多い会議を経験するのも初めてだったし、何しろそこで話されていることの用語も分からない、という状況だったのだそうだ。自信を無くしかけたこともあると言っていた。実際今でも苦労がある、というのは本音だろう。でもそんな時にふと彼が気づいたのは、どんなに専門的な用語やビジネスのフレームだろうと、最終的には使う人目線でのその場所の「ありかた」に集中することらしい。そうすると、結局は、どんなに専門的な話になろうと難しい用語が飛び交おうと、それらは共通のイメージを形にしていく作業のプロセスだということ。自分はこう考えます、という自分のイメージを自分の言葉を結局はぶつかるしかない、と開き直れたことで気が楽になったのだと。


新しい環境にチャレンジするのは誰でも最初は不安であるし、苦労もするだろう。それでも毎日が続いていくのなら、それを楽しめたほうが良いに決まっている。すべては捉え方なのだろうと思う。卒業生が活躍するのを見るのは嬉しい。多くの日々頑張っている人たちにエールを送ります。

清水くんとのトークはこちら(録って出し音源)

Essentials / 日常

ここでは,日常の中で見つけることが出来るデザインのエッセンスや,モノやコトへの視点がそれぞれの感性によって語られます.また,UNDESIGNEDを読みながら楽しんでもらうための素敵な音楽のセレクションも一緒に.毎回,UNDESIGNEDのメンバーやゲストの寄稿でアトランダムに構成します.

Here, the essence of design that can be found in everyday life and the perspective on things are talked about by each sensibility. Plus, with a good music playlist for you. Each time, it is randomly provided by UNDESIGNED members and guest writers.

Soundscape on your day off / 休日の音の風景

毎回,音楽好きの仲間に「今」聴きたい曲やアルバムをセレクトしてお勧めしてもらいます.
We also recommends nice music which is selected by DJs or people who are loving music so much.

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Team UNDESIGNED of this issue are...

Producer / Editor / Video Editor
Takashi Sasaki
大阪生まれ香川育ち.野球ばかりでデザインとは縁がなかったが,デザイン関連の取材を通して,その考え方やプロセスに惹かれたひとり.

Editor in chief  /
Michiaki Nishio 
広島生まれ.建築およびデザインと人間の接点から社会や未来を夢想するのが癖.普段は建築を軸にデザインの実践と教育に携わる.

Regular editor / Editorial designer
Maiko Teramoto
広島生まれ.素敵なものが,なぜ素敵なのかを考えがち.もちろんデザインでも.古今東西全ての本と映画を見漁るのが叶わぬ夢.

Correspondents /
Madoka Kikkawa
北海道生まれ広島育ち.デザインとアートの違いや通ずるものに興味を惹かれる.普段は人と関わりながら手を動かして写真を撮ったり商品を創っている.

Akane Mameda


Special thanks for this issue:
Supported by Anabuki Design College Hiroshima